著者
谷口 初美 福田 和正 王 岩 HINOUE Mitsuo 山内 和紀 市原 剛志 水野 康平 石松 維世 世良 暢之 濱崎 光宏 高橋 浩司 堀川 和美
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.349-367, 2004-09-01
被引用文献数
4

廃棄物処分場や不法投棄現場においてガス発生が多発している.硫化水素ガス発生予測の基礎となる土壌細菌叢の動態を量的,質的に評価するための遺伝子工学的検査法を構築することを目的に,従来の染色法,培養法による検証と共に,実験手法の確立を行った.全菌数測定にreal time PCR法を導入し,その有用性を明らかにした.Direct PCRにより増幅した16S rRNA遺伝子の塩基配列決定により,菌種の同定を行った.硫化水素ガス発生に関与するイオウの酸化または還元菌群の頻度を調べた結果,復旧作業中の不法投棄現場では,深層部の土壌で,無芽胞硫酸還元菌とイオウ酸化細菌群が高頻度に同程度検出された.埋立廃棄物処分場では,深層部に有芽胞硫酸還元菌やClostridium属菌が多く検出され,イオウ酸化細菌群はほとんど検出されなかった.硫酸還元菌については嫌気培養法により同様の結果を得た.理化学検査の結果,硫酸イオン濃度は不法投棄現場では深層部に,埋立処分場では表層部に高かった.廃棄物処分場や不法投棄現場では硫化水素ガス発生の潜在的危険性が示唆され,遺伝子工学的検査システムが土壌の微生物叢評価および処分場のガス発生予知に有用であると考えられる.
著者
市瀬 孝道 西川 雅高 今井 透 吉田 成一 定金 香里 岸川 禮子 世良 暢之 世良 暢之
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は日本に風送された汚染黄砂の呼吸器系への影響を、実験動物を用いて明らかにすると共に黄砂現象中の健康被害を、呼吸器系を中心とした疫学調査によって明らかにすることを目的する。我々は動物実験で風送黄砂が卵白アルブミンによって誘発される気管支喘息様病態やスギ花粉による鼻炎を悪化させることを明らかにした。また我々は北九州地域における疫学調査おいて、黄砂が花粉症や目の症状を悪化させることを明らかにした。
著者
永添 正美 世良 暢之 常盤 寛
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.17-24, 2004-02

1996年10月上旬、KA大学、附属KB及び付属KC高校において患者数211名の大規模な食中毒が発生した。患者の主症状は、下痢、腹痛、嘔吐及び発熱であった。患者14名の便、食品残品について細菌学的検査を実施した。その結果、4名(28%)の便からサルモネラが検出され、生化学性状、血清学的性状(O抗原9、H抗原g,m)の結果から、Salmonella Enteritidis (以下、S. Enteritidis)と同定された。便より分離したS. Enteritidisについて、寒天平板法により抗生物質(アンピシリン、ピペラシリン、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤、ミノサイクリン、アミカシン、セフメタゾール、セフォベラゾン、ラタモキセフ、セフォチアム、セフチゾキシム、セフタシジム、ホスホマイシン)に対する感受性試験を実施した。その結果、便より分離したS. Enteritidisは、アンピシリン(最少発育阻止濃度が、4μg/ml)、スルファメトキサゾール(同、<1.56μg/ml)などに対して感受性であった。一方、原因食品を追求するため、同学生食堂に残されていた液卵4検体についてサルモネラ分離を試みた。その結果、S. Haiha及びS. Enteritidisの2種類のサルモネラが検出された。特にS. Enteritidisは4検体中3検体から検出されたことから、10月4日に患者が喫食したカツ井、から揚げ丼に使われた液卵あるいはその調理容器が何らかの形でS. Enteritidisに汚染されたことが本食中毒の原因であると疑われた。