著者
沖田 裕子 永田 久美子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.44-53, 2004-11-01

本研究の目的は,クリスティン・プライデンさんの講演とインタビューをもとに,痴呆の体験者が訴えようとしている内容についてケア専門家の立場から分析を行い,体験として伝えたいことを,より明確にケアと関連づけることである.講演内容とインタビューは,I.診断直後の体験・状況,II.痴呆の人が置かれている状況,III.痴呆の人が体験していること,IV.痴呆の人が求める痴呆ケア,の4つの大カテゴリーに分類することができた.これらの分析から,痴呆の人には痴呆症状の自覚と自分らしさの危機があること,新しい生き方を発見していること,行動障害は自分なりに対処している結果であること,場所・感覚機能・記憶に混乱があるなどがわかった.そして,クリスティンさんは,これらの体験に対し,それぞれのケアを求めていた.痴呆ケアは,痴呆の人の体験を知り,彼女たちの気持ちを汲んで実施していくことが重要であると再認識した.