著者
永田 由美子 杉山 理香 木村 修一
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.71-78, 2001

高齢者の咀嚼能力を評価する方法として脳総動脈血流量・速度と心拍数やエネルギー消費量・呼吸比, 体熱産生と体熱放散などのパラメーターから検討した. この結果, すべてのパラメーターから, 硬い米飯食を咀嚼した方が軟らかい米飯より, 高いレベルを維持していた. これは食べものをよく噛むことによって, 顎の運動が心拍数を高めることになり, 唾液中の分解酵素の作用を受けて糖質からエネルギーへの転換が生じたことが考えられた. また, 交換神経が刺激されたことにより, エネルギー消費量が高く維持され, 熱産生が高まり, 脳総動脈血流量が上昇することは脳における広範囲の領域が活性化されることが推測された
著者
永田 由美子
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.73-77, 1998-06-25 (Released:2011-03-01)
参考文献数
6

本研究では “咀嚼すること” の評価として, 種々の食べ物を咀嚼した時の心拍数とエネルギー消費量に及ぼす影響について検討した.被験者は20歳代の健康な女子10名であった.検査食として, 硬さが異なる食品と同一素材で調理法が異なる食べ物を3回咀嚼させて咀嚼前と咀嚼中の心拍数とエネルギー消費量および咀嚼後30分までの腋下温度を測定した.食べ物を咀嚼している時のエネルギー消費量はガム咀嚼時の値を用いた.この結果から, 硬さが異なる食品と同一素材で調理法が異なる食べ物を咀嚼した時の心拍数とエネルギー消費量は上昇したが, 食べ物が硬いか軟らかいかの差異は見られなかった.しかし, 腋下温度は経時的に上昇して硬い食べ物ほど高い値で変動する傾向を示したことから, 時間をかけて充分に咀嚼することの有用性が示唆された