- 著者
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永田 知之
- 出版者
- 一般社団法人 情報科学技術協会
- 雑誌
- 情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.5, pp.178-183, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)
古代以来,日本では漢籍が多く収蔵されていたが,伝統的な四部分類に基づく書目は中世ではごく稀であった。これは,当時の書目の多くが仏典を対象とする聖教目録だったことを主因とする。19世紀に入ると,漢籍(非仏典)に四部分類を用いる書目の編纂が顕著となる。漢籍の増加,寺院の外での漢学の隆盛,『四庫全書総目』等による中国からの分類法の流入がその原因だろう。大正期以降は漢籍に特化し,四部分類を施す目録が珍しくなくなる。これは日本文化からの漢学など中国文化の析出が漢籍を他の書籍から独立させたことを一因とする。総じて言えば,書目での漢籍の扱いは中国文化が日本で占める位置の反映であり続けたと思しい。