著者
白須 裕之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.8, pp.9-16, 2008-01-25

本稿は中国古典文献(古籍)、特に抄本、版本等のテキストを電子化することを前提に、その概念モデルを提出する。書物には論理的な文書構造と共に物理構造が存在し、更に古籍には現代の書物と異なる物理構造が存在する。このような複数の構造を捉えるために、本稿ではタグのOverlap問題を扱える多構造文書なる概念を提出する。これはConcurrent Markupのデータモデルの上に、複数の木構造を定義できるようにしたものである。更に校勘情報のために必要な概念についても議論する。This paper investigates multi-structuring and collation issue of textual encoding in ancient Chinese printings and manuscripts. We discuss requirements of digital text repositories for knowledge base on histrical sources, and overlapping problems of concurrent markups. So this paper presents a conceptual model of digital texts based on The Layered Markup and Annotation Language(LMNL) with XML-based multi-structures. Furthermore we show applicability of this model to textual encoding of ancient Chinese printings and manuscripts.
著者
青田 寿美 永崎 研宣 白須 裕之 古勝 隆一
出版者
国文学研究資料館
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

NIJL「蔵書印データベース」は、4万件を超えるレコード数量を有し、31項目からなるコンテンツを活用するための多様な検索機能を兼ね備え、国内外に類例をみない印影データベースとして高い評価と利用実績をあげてきた。本研究では、個別レコードの情報整備と新たな項目の追増等を行うことで印影検索機能の拡充を実現する他、篆書体学習者向けの「篆字部首・画像検索システム」を構築することにより、ユーザの高次利用に応え篆字読解力をも助長するデータベースの新展開を目指す。また、「篆字データセット」を公開することにより、次世代へ受け渡す知識ベースの開拓へと繋げる。
著者
牛根 靖裕 白須 裕之 山田 崇仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.9, pp.49-56, 2007-01-27
被引用文献数
5

オブジェクト指向分析/設計の成果物の一つに概念モデルがある。概念モデルは対象となる問題領域を理解するために、その問題領域に存在する主要な概念とその関係を表現する。本稿が対象とする問題領域は中国の唐代行政地理に関するものである。唐代の地理に関係する文献を理解するために、府州郡縣等の行政区及び、その設置、廃止、分割、合併、改名、所属の変更などの現象を捉えるための概念モデルを提出する。行政区の静的な情報のためにはクラス図を、行政区のライフサイクルを理解するためには状態遷移図を用いる。また、『新唐書』地理志、『元和郡縣圖志』などの文献ごとの概念モデルの違いについても議論する。Tang adminitrative geography concerns itself with the hierarchy of areas relating to the national government in the Tang dynasty. This hierarchical structure and the boundaries of the layers in them are subject to histrical records and occasional changes. The paper presents a conceptual model of its administrative geography. We use class diagrams for modeling static information of administrative areas and state machine diagrams for modeling behavioral state of their area boundaries, and also discuss difference of conceptual models in historical sources of its geography.
著者
白須 裕之 永田 知之
雑誌
じんもんこん2006論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.1-8, 2006-12-14

データマイニングの主要な要素技術として、相関ルールマイニングの方法がある。本稿はこの方法を使って、中国唐代(618-907)の官僚が遷転した様子を解明しようとする一つの試みである。官職の遷転を研究する上で重要な要因としては、「エリートコース」として考えられる官歴のパターンがある。しかし、史料上、このような「エリートコース」が明示的に記載されることは稀である。人物が任官したという情報をデータベースとするとき、そこから任官の傾向を示すルール「官職A,Bについたことがある人はしばしば、官職Cにつく」を抽出することができる。このようなルールで抽出された官歴パターン中に、史料に明示されていない有意なパターンが含まれることが考えられる。
著者
白須 裕之
雑誌
じんもんこん2007論文集
巻号頁・発行日
no.2017, pp.39-46, 2007-12-13
著者
白須 裕之
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.8(2008-CH-077), pp.9-16, 2008-01-25

本稿は中国古典文献(古籍)、特に抄本、版本等のテキストを電子化することを前提に、その概念モデルを提出する。書物には論理的な文書構造と共に物理構造が存在し、更に古籍には現代の書物と異なる物理構造が存在する。このような複数の構造を捉えるために、本稿ではタグのOverlap問題を扱える多構造文書なる概念を提出する。これはConcurrent Markupのデータモデルの上に、複数の木構造を定義できるようにしたものである。更に校勘情報のために必要な概念についても議論する。
著者
牛根 靖裕 白須 裕之 山田 崇仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.9, pp.57-64, 2007-01-27
被引用文献数
2

「唐代行政地理の概念モデル」に基づき、実際の史料から概念モデルに即したデータモデルを提示する事を目的とする。内容は、以下の三つに分かれる。(')「唐代行政地理情報」についての問題を整理。(Ⅱ)関連史料の紹介とデータモデルの基本方針の提示。(、)『新唐脅 $地理志・『元和郡縣圃志』の二つの史料を対象としたデータモデルの提示。このモデルにより、単なるテキスト全文検索では実現不可能な「時間によって変化する行政鷺の状態遷移情報」「史料の内容に則した情報(異説を含めた)」の検索が可能となる。The purpose of this report is a thing to present the data model from actual historical materials according to "Conceptual model of the Tang Administrative Geography". The content, divides into three kinds of the following. (0 The problem of "Tang Administrative Geography" is arranged, (n) A basic policy of the data model is presented as the introduction of related historical materials. (m)The data model is presented intended for two historical materials of "XinTangShu DiLiZhi (『新唐書』地理志) " and "YuanHeJun-XianTuZhi (元和郡縣園志) ". Retrieving information on "Life cycle of an administrative district" that cannot be achieved in the model presented by this text by a mere text full-text search becomes possible.
著者
牛根 靖裕 白須 裕之 山田 崇仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.95, pp.17-24, 2007-09-27
被引用文献数
1

本報告では、唐代資料に記述される情報を引用する際に必要となる概念モデルと語彙の設計作業の一貫である。ここでは、情報を明示する際に使用される表現の中で最低限必要な情報である、「書籍」と「版本」を対象とする。まず、現代の出版技術を前提とした「書籍」の概念として、個々の実体を有する本としての「Copy」と、書名等によって抽象化された「Book」の二つを提示する。これらの二つの「書籍」の概念を元に設計した概念モデルを踏まえて、古典文献特有の書誌情報である「版本」とその相互関係について着目した概念モデルの設計と語彙の提示を行う。付録として、本論で提示した概念モデルを利用した『元和郡縣圖志』の書誌情報の OWL 語彙とその例を記述したものを本稿末尾に掲載した。When a history scholar presents conflicting views or differences between texts, he must indicate the source where he has his grounds for showing them. Our aim of research is to present a method of representing location information of references and quotations in the research on the Tang dynasty. This paper presents a conceptual model and a vocabulary of only references to documents. In the first, we discuss concepts of books that depend on the modern publication technologies. "Book" is an abstract concept of books which have only bibliographical information, and "Copy" is a concrete one of book entities. In the second, we revise these concepts to the case of manuscripts, woodblock printing, and photo offset copies. Our conceptual model is based on "matters of printing", in order to make up losses on bibliographical information on documents in ancient China.
著者
白須 裕之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49, pp.1-8, 2007-05-25
被引用文献数
4

本稿は歴史概念を理解するための概念モデルを提出するのではなく、歴史記述のための知識ベースを構築するということはどのようなことであるか、ということを理解するための概念モデルを提出する一つの試みである。まず、歴史記述のプロセスでは何が本質的であるか、ということを取り上げ、従来の知識ベースを作成する枠組みに存在した問題点を議論する。特に従来行われてきた電子テキストにマークアップを行い、それに対するメタ情報の付加によって知識ベースを作成するという手法の問題点を述べ、歴史記述に対してどのような知識表現の枠組みが必要であるかを検討する。We presented conceptual models of administrative geographies, government systems and offices in the Tang dynasty(618-907).There were a lot of disadvantages of our approach in the previous papers, in which we applied the method of "semantical markup and meta information" to build a knowledge base system for historical sources. Thus we try to suggest a conceptual model of constructing knowledge base for them. This paper discusses the historical discourse in the postmodern age at first, and presents a framework of knowledge representation for it. This framework is based on the OMG metamodel hierarchy and the reference model of Topic Maps.