著者
江利川 良枝
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.231-244, 2017-03-31

「平成28年度学校基本調査」によると,高校生の2人に1人が大学に進学しており,年々その割合は増加傾向にある。しかし,その割合が増えるほど,目的なく進学する高校生や不本意ながら入学した学生も増える可能性が高い。事実,親や高校の先生のすすめ,周りが進学するから,何となく将来のためになると思ったからといった理由で入学する学生も少なくない。一方,大学におけるキャリア教育には学校から社会への移行として,組織や社会が求める能力を身につけることが求められている。大学での学びや学生生活は高校までのそれとは全く異なる。前述のような大学進学者が多い中で,彼らがまずクリアしていかなければならないのは高校から大学への移行である。学生生活における自己確立や大学生の発達課題でもあるアイデンティティの獲得のために,まずは進学動機や大学生の発達課題に目を向け,本学のキャリア教育がどのように影響したかを検証する。