著者
飯田 文子 篠原 英里子 江口 舞 葛西 真知子 奥山 知子 相原 武志
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【<b>目的</b>】&nbsp; チョコレートの嗜好に関わる香りについて、フレーバービーンズとして名高いベネズエラ・エクアドル豆を用いた同配合のビターチョコレートに含まれる特徴的な香りを明らかにするとともにそれらの嗜好性を調べることを目的とした。<br>【<b>方法</b>】 嗜好性の高い3種のカカオ豆、ガーナA・ベネズエラB・エクアドルCから作製したビターチョコレートを用い、descriptive analysisによる官能評価を行った。すなわち訓練パネルによる香り用語を抽出し整理した上定義付けを明らかにした。その上でGC/MS、GC分析による香気成分分析結果と対応の取れる代表的な香り用語を選定し官能評価用紙を作成した。官能評価は、学生パネル56名、訓練パネル27名に対して7段階スケールのSD法で強弱および嗜好を測定した。さらに官能評価結果と機器分析値の統計解析を行った。<br>【<b>結果</b>】 3種のチョコレート試料から得られた香り用語は、訓練パネル中12名により約70語抽出された。さらにチョコレートに含まれる既知の代表的香気成分から抽出された約400語を基に3種の試料に特徴的な香り用語8語を選定した。香気成分分析からは、3種のチョコレートの香りとして57成分が測定された。官能評価結果と香気成分値との主成分分析によりAB試料は香りが似ており、5-methyl-2-phenyl-2-hexenal「ココアの香り」、2,3,5-trimethylpyrazine「ナッツの香り」、tetramethylpyrazine「麦茶の香り」が上げられ「香ばしい香り」が特徴とされた。C試料は2-heptanol「グリーンの香り」、2-phenylethyl alcohol「花の香り」が特徴とされた。その中で好ましい香りは「ココアの香り」「ナッツの香り」「花の香り」であった。またチョコレートとしての認識とかけ離れている香りの項目は訓練により認知力が高くなることも示された。