著者
江川 勉 田淵 重造
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本塩学会誌 (ISSN:03695646)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.171-179, 1960

食塩中の硫酸根の定量法として, EDTAによる迅速分析法の改良について, 実験を行った.<BR>1. 前報における負誤差の原因を検討した結果, 硫酸バリウムの析出が不完全であることが最大原因であると推定した.<BR>2. この推定に基づいて, 沈殿の生成を完全にするために, 常温反応で生成した硫酸バリウムを, 5分間熟成させた後, 50%メチルアルコール10ccを添加することによつて, 短時間に反応を完結させ, 分析所要時間を約15分に短縮できた. 硫酸イオンの含有量が微量の場合には, 液量およびアルコール添加量を変える必要がある.<BR>3. 本方法の分析誤差は, 硫酸イオン約10mgを含む試料溶液において, 0.86%以下であつた.<BR>4. 海塩関係の各試料についても, 十分適用できることを認めた.