著者
江角 真理子 杉谷 雅彦 山口 裕美
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

肝臓がんの主たる原因であるC型肝炎ウイルスについて、治療薬はまだ十分なものがない。本研究ではヒト組織がもちうる抗ウイルス反応をヒントに、新たなヒトに優しいC型肝炎治療法の基盤を探索した。ウイルス量が1000倍も異なる肝臓組織を比較し、どこが違うかを発現しているタンパク質の違いで捉えた。とくにウイルスが増える肝実質細胞とその環境を作り出す間質とにわけて解析した。それぞれから90個と27個のタンパク質を見つけた。ウイルス量が多い組織では、ウイルス有利に働くものとウイルス制御に働くものとの両方が見いだされた。中でもウイルス量が多い組織で発現亢進する機能未知のタンパク質について、ウイルス感染実験で検討した。ウイルス侵入を助けるタンパク質分解酵素や、ウイルスの分泌に関連しそうな細胞内器官ゴルジ体タンパク質の存在が見いだされた。