著者
大崎 健一 小西 淳 池上 和仁 小出 幹夫
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.497-502, 1991-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
7
被引用文献数
2

短時間熱脱水架橋した線維化アテロコラーゲンと熱変性アテロコラーゲン複合体で構成される人工真皮を開発した。そこで、ラット全層皮膚欠損創にこの人工真皮を貼付し、さらに同時或いは1、2週後に自家の薄い分層皮膚(S.T.S.)を重ねて移植した。その結果、S.T.S.生着率は、同時に重層移植した群で50%、1週間後移植群で60%、2週間後移植群では90%と高率であった。組織学的には、生着例ではいずれも疑似真皮様となった人工真皮の上に、S.T.S.が極めて自然に密着していた。S.T.S.の表皮基底細胞は、植皮6日後には、BrdU(チミジンアナログ)の盛んなとり込みも見せ、旺盛な分裂増殖能を示した。以上より、この人工真皮は生体適合性が高いため薄い分層植皮の為の良いbedとなり、厚い皮膚移植や皮弁以外に方法がなかった全層皮膚欠損創の再構成にも貢献出来る可能性があるものと考えられた。