著者
安里 龍二 長谷川 英男 池城 毅
出版者
Japanese Society of Tropical Medicine
雑誌
Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.239-246, 1984-12-15 (Released:2011-05-20)
参考文献数
24

沖縄県に収容されたベトナム難民662名について消化管寄生蠕虫類の調査を行い, 444名 (67.1%) に寄生を認めた。回虫が最も高率 (56.3%) で, 次いで鞭虫 (21.8%), 鉤虫 (18.4%), 糞線虫 (2.3%) の順であり, 他に小形条虫 (3名), 無鉤条虫, 肥大吸虫, 肝吸虫 (各1名) がみられた。年齢別ではほとんどの年齢層で50%以上の高い保有率を示し, 性別では男子の保有率が高かった。これら蠕虫類の寄生状況はベトナム国内での都市部のものに類似していた。消化管寄生原虫類の調査は274名について行い, 50名 (18.2%) に原虫嚢子を認めた!内訳はランブル鞭毛虫 (3.6%), 大腸アメーバ (4.7%), 小形アメーバ (11.3%) で, 赤痢アメーバは検出されなかつた。住血性寄生虫の検査は311名について行ったが, マラリア原虫, ミクロフィラリアは証明されなかった。ベトナム難民の寄生虫が難民自身並びに収容施設周辺の住民に与える影響, 及び対策等について論じた。