著者
池松 玲子
出版者
東京女子大学現代教養学部国際社会学科社会学専攻紀要編集委員会
雑誌
東京女子大学社会学年報 (ISSN:21876401)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.19-35, 2017-03-02

高度経済成長期には,性別役割分業を元に主婦は戦後の女性の一般的なライフスタイルとして定着したが,1970 年代に第二波フェミニズムの影響が広がるにつれ,生き難さを感じる女性たちによって主婦という生き方が問題として捉えられるようになった.本稿では,高度経済成長期に実際に主婦として生き,育児終了期からは投稿誌『わいふ』を発行して,主婦に自由な言論空間を提供する活動を実践してきた田中喜美子および和田好子に着目し,両名のライフヒストリーの分析を通して,主婦という生き方に疑問をもち始めた女性たちについて考察した.
著者
池松 玲子
出版者
東京女子大学現代教養学部国際社会学科社会学専攻紀要編集委員会
雑誌
東京女子大学社会学年報 (ISSN:21876401)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.17-34, 2018-03-02

戦後日本社会では,第二波フェミニズムにおける主婦を問題として問うという流れの 中で,家族の中に埋没していた女性たちが近代的個人としての自己に目覚めていくプロセスがあった.主婦であることの意味をめぐっては多様なメディアでの積極的な議論があり,そうした議論は社会的に注目され女性たちに影響を与えてもきた.本稿は識者等ではなく主婦自身の主張で構成される投稿誌『わいふ』の主婦論争に着目し,主婦という生き方と近代的個人としての自己をめぐり何が語られたかを明らかにすると共に,こうした論争を可能にしたメディアとしての同誌について考察した.