著者
池田 剛士
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.23-34, 2009 (Released:2011-05-20)
参考文献数
13

本稿では独占企業による第三級の価格差別と財の品質選択 (垂直的製品差別化) について考察する。2つの独立した市場間での価格差別が経済厚生及び、財の品質に与える影響が求められ、主に以下のことを明らかにする。 (1) 価格差別は常に財の品質を向上させる。 (2) 価格差別により、財から得られる効用の低い消費者グループの価格が引き下げられる。 (3) 価格差別は総供給量を増加させない場合でも、品質向上効果により必ず総余剰を増加させる。 (4) 二つの市場の問の嗜好の差が大きいとき、価格差別はパレート改善をもたらす。