著者
池田 晶
出版者
佛教大学総合研究所
雑誌
佛教大学総合研究所紀要 = Bulletin of the Research Institute of Bukkyo University (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
no.27, pp.27-35, 2020-03

近世の日吉神事能は、日吉社(現日吉大社)の上七社の十禅師(現樹下神社)で行われた神事能である。毎年正月六日、十禅師で「翁」と六番の能・狂言が奉納されていた。本稿では、山門公人景山家に伝来した『観世改正神哥仝』に記載された翁詞章と、他の観世流の翁詞章との比較検討を通して、近世の日吉神事能における日吉の翁の復元をおこなった。この結果、近世の日吉の翁は、現行の直面の一人翁ではなく、千歳・三番叟・面箱持を伴っていたことを実証した。当然、千歳の詞章もあり、面箱を伴った翁面を着けた本格的な翁であった。日吉社神事能翁翁詞章片山九郎右衛門