著者
山口 耕平 吉田 有紀 相谷 芳孝 池田 澄美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0004, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】 臨床において整形外科疾患患者の呼吸運動にアプローチすることで症状が改善することを経験する。呼吸筋と姿勢制御の関係や呼吸機能における体位の影響などを報告する文献は散見されるが、呼吸運動と姿勢や脊柱可動性との関連性について報告した文献は少ない。本研究では脊柱アライメントおよび脊柱可動性に着目し、呼吸時胸郭・腹部周径変化との関係について報告する。【方法】 対象は、本研究の内容を十分説明し同意を得た地域在住女性高齢者24名(年齢:68.3±7.9歳)である。脊柱アライメント測定はIndex社製スパイナルマウスを用いた。測定は坐位で行い、安静位・脊柱最大伸展位・脊柱最大屈曲位の3肢位で測定し、各肢位における胸椎・腰椎・骨盤アライメント(屈曲・前傾が正の値)を得た。また、脊柱最大伸展位における脊柱角度を胸椎・腰椎伸展可動性、骨盤については前傾可動性とした。最大屈曲位からも同様に胸椎・腰椎屈曲可動性と骨盤後傾可動性を得た。呼吸時胸郭・腹部周径測定は、測定位置を腋窩・剣状突起・第10肋骨・臍部レベルとし、測定肢位を背臥位とした。安静呼気位・最大呼気位・最大吸気位における周径を各レベルでメジャーを用い計測した。最大吸気位周径から最大呼気位周径を減じ、各レベルの胸郭拡張差を得た。また、安静呼気位と最大吸気位および最大呼気位との周径差を吸気可動性・呼気可動性とし、各々算出した。統計解析は、姿勢と呼吸パラメーターとの関連性についてSpearman順位相関係数を用い検討した。統計処理にはSPSSを用いた。【結果】 腰椎屈曲可動性と剣状突起レベル胸郭拡張差(以下CESxp、r=0.65,p<0.01)および剣状突起レベル呼気可動性(以下rROMpx、r=0.56,p<0.01)との間で有意な相関がみられた。また、骨盤後傾可動性についてもCESxp(r=-0.56,p<0.01)およびrROMxp(r=-0.41,p<0.05)と有意な相関がみられた。加えて、安静位腰椎アライメントと CESxp (r=0.42,p<0.05)にも有意な相関がみられた。【考察】 本研究より、坐位腰椎屈曲・骨盤後傾可動性と剣状突起レベルの胸郭拡張運動、特に呼気運動との関連性が高いことがわかった。また、安静坐位腰椎アライメントと剣状突起レベルの胸郭拡張差との間にも相関がみられたことから、姿勢と呼吸運動の関係についての示唆が得られた。一方で、本研究が呼吸機能と整形外科疾患との関連性について言及するには至らなかった。この点に関しては新たな呼吸パラメーターを用いた検討が必要と考える。