著者
田平 隆行 池田 由里子 丸田 道雄 下木原 俊
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-6, 2022-03-01 (Released:2022-03-30)
参考文献数
32

Healthy Aging(WHO)や世界的な作業療法の潮流を受け,個人にとって意味のある活動(Meaningful Activity; MA)を基にした作業療法実践が重要視されてきている。MAは「個人,集団,地域にとって個別的意味があり,納得のいく経験を促すために選択され,遂行される作業」と定義されているが,世界的なコンセンサスは得られていない。しかし,地域在住高齢者のMAを発掘し,MAに焦点を当てた実践によってIADLやQOLに効果があることが分かってきた。我々が取り組んでいる地域在住高齢者に対するMA調査においても,MAの満足度と抑うつやアパシーとは有意な関連があり,MAの満足度を高める支援が必要と考える。さらに,身体フレイルを有する高齢者は身体活動を,認知機能障害を有する高齢者は認知活動をそれぞれMAとして選択する割合が有意に低く,フレイルの各側面に応じてMAが影響を受けることも分かった。住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためにMAに従事し満足できるよう,本人のできることを最大限に活かした作業療法を展開していきたい。
著者
池田 由里子 イケダ ユリコ IKEDA Yuriko
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13462180)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.27-34, 2014-03

内閣府国際交流事業の1つである平成25年度青年社会活動コアリーダー育成プログラムに参加し, デンマークにおける高齢者福祉を取り巻く状況を学ぶ機会を得た。 デンマークは社会福祉国家として教育費, 医療・介護費の無料化, 充実した公的扶助により国民全ての生活が保障されている。 他方, 社会福祉サービスは社会サービス法で一元的に規定され, この法律の中で, 高齢者は可能な限り在宅で生活することを期待されている。 また, 高齢者3原則(自己決定の尊重, 自己資源の活性化, 継続性の維持) の考えのもと, 1) 自助支援, 2) リハビリテーションの推進, 3) 福祉テクノロジーの活用, 4) インフォーマルサービス等の多様な支援により高齢者は地域で質の高い生活を実現できている。 これは高齢者, 家族, 地域住民, 専門職, 行政がそれぞれの役割を理解し, その役割を実行することで互いが合理的かつ的確に連携しているためであると考える。We had the opportunity to learn about the situation surrounding elderly welfare in Denmark through participation in the FY 2013 Young Core Leaders of Civil Society Groups Development Program, one of the international exchange projects sponsored by the Japanese Cabinet Office. As a social welfare state, Denmark guarantees life security for all its citizens by providing extensive public assistance, as well as free education, medical care, and long-term care. On the other hand, social welfare services are centralized under the law of social services. This law stipulates that the elderly should live at home to the extent possible. Moreover, based on the three principles of the elderly (i.e., respect for self-determination, use of own resources, and maintain continuity), a high quality of life is possible among community-dwelling elderly through various types of support, such as 1) help to self-help, 2) promotion of rehabilitation, use of welfare technology, and 4) informal services by NGOs and volunteers. This is made possible by the rational and appropriate collaboration between the elderly, families, community residents, specialists , and administration, by understanding and carrying out their respective roles.