著者
田平 隆行 池田 由里子 丸田 道雄 下木原 俊
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-6, 2022-03-01 (Released:2022-03-30)
参考文献数
32

Healthy Aging(WHO)や世界的な作業療法の潮流を受け,個人にとって意味のある活動(Meaningful Activity; MA)を基にした作業療法実践が重要視されてきている。MAは「個人,集団,地域にとって個別的意味があり,納得のいく経験を促すために選択され,遂行される作業」と定義されているが,世界的なコンセンサスは得られていない。しかし,地域在住高齢者のMAを発掘し,MAに焦点を当てた実践によってIADLやQOLに効果があることが分かってきた。我々が取り組んでいる地域在住高齢者に対するMA調査においても,MAの満足度と抑うつやアパシーとは有意な関連があり,MAの満足度を高める支援が必要と考える。さらに,身体フレイルを有する高齢者は身体活動を,認知機能障害を有する高齢者は認知活動をそれぞれMAとして選択する割合が有意に低く,フレイルの各側面に応じてMAが影響を受けることも分かった。住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためにMAに従事し満足できるよう,本人のできることを最大限に活かした作業療法を展開していきたい。
著者
釜﨑 大志郎 大田尾 浩 八谷 瑞紀 久保 温子 大川 裕行 藤原 和彦 坂本 飛鳥 下木原 俊 韓 侊熙 丸田 道雄 田平 隆行
出版者
一般社団法人 日本老年療法学会
雑誌
日本老年療法学会誌 (ISSN:2436908X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-8, 2023-01-06 (Released:2023-01-07)
参考文献数
31

【目的】本研究の目的は,プレフレイルからロバストへの改善に関連する基本チェックリスト(kihon checklist: KCL)の各領域の特徴を検討することとした。【方法】対象は,半年に1回の体力測定会に参加した地域在住中高年者とした。改訂日本版cardiovascular health study基準(改訂版J-CHS)でプレフレイルの有無を評価し,半年後に同様の評価を行った。ベースラインから半年後にプレフレイルからロバストに改善した群と変化がなかった非改善群の2群に分けた。また,KCLで生活に関連する機能の評価を行った。改善群と非改善群を従属変数,KCLの各領域の点数を独立変数とした2項ロジスティック回帰分析を行った。また,有意な関連を示したKCLの下位項目に回答した割合を比較し,特徴を検討した。【結果】分析対象者は,地域在住中高年者60名(71.9±7.8歳)であった。2項ロジスティック回帰分析の結果,プレフレイルからロバストへの改善の有無にはKCLの社会的孤立(OR: 0.04, 95%CI: 0.00-0.74, p=0.031)が関連することが明らかになった。また,ロバストに改善した群は,社会的孤立の中でも週に1回以上外出している者が有意に多かった。【結論】プレフレイルの地域在住中高年者へ外出を促すことで,ロバストへ改善する可能性が示唆された。