著者
池田 知哉
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

寒冷暴露(凍死)は特徴的所見に乏しく判定が困難な症例も多い.凍死を示唆する血液検査所見としてケトン体の上昇が報告されているが,低栄養でもケトン体は上昇し,低栄養と寒冷暴露の鑑別に適さず,新しい検査法が求められている.これまで我々は,寒冷暴露時にACTH(adrenocorticotropic hormone)の分泌細胞が出現することを明らかにした.この所見から,副腎皮質におけるコルチゾールが変化することが予測される.本研究では,「寒冷暴露に伴うコルチゾールの病態生理学的意義」を調べ,コルチゾールの動態が寒冷暴露の診断マーカとなり得るか明らかにし,法医学上の凍死診断の一助とすることを目的とした.