著者
池辺 忠義
出版者
国立感染症研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

劇症型溶連菌感染症(STSS)は、発病からの病状の進行が急激かつ劇的で、いったん発病すると数十時間以内に、死に至る可能性の高いことが知られている。本研究において、劇症型溶連菌感染症臨床分離株で、新たにrgg遺伝子に変異があることを見出した。マウスモデルにおいて、このrgg変異株は、致死性が高く、様々な臓器に障害を与え、ヒトの好中球を殺傷することが明らかとなった。STSS株と非侵襲性感染株におけるrgg遺伝子の変異頻度を調べた結果、劇症型溶連菌感染症臨床分離株の約25%を占めていた。また、咽頭炎などの非劇症型感染臨床分離株では、1.7%しかこの遺伝子に変異が見られず、有意に劇症型感染症臨床分離株においてrgg遺伝子に変異がみられることが判明した。このことから、このrgg遺伝子の変異は、劇症型感染症に重要な役割をしていることが考えられた。