著者
豊後 雅巳 山地 康文 二見 仁康 塩谷 泰一 入野 昭三 沖野 毅 大森 正樹
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.185-189, 1988-02-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
13

症例は39歳, 男性. 32歳時, 開胸肺生検にて肺線維症と診断され, その後継続的なステロイド少量療法で症状は安定していたが, 昭和60年12月肺炎を合併し, 以後呼吸困難が増強してきた為, 当科に紹介入院となる. 入院時, 血清CA19-9が3,710U/mlと高値を示し, 更に死亡までの約6ヵ月間, 病勢の悪化と共に上昇し続け, 死亡直前には120,000U/ml以上を示した. このため, 悪性腫瘍, 特に膵癌の合併を強く疑い精査したが, 臨床検査上各臓器に悪性腫瘍の存在を疑わせる所見はなく, 病理解剖でも悪性腫蕩の合併は否定された.