著者
沢田 壮兵
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.95-101, 1984-12-25

十勝地方に適したサイレージ用トウモロコシ品種の早晩性にっいて,帯広の過去33年間(1951〜1983年)の気温から検討した。サイレージ原料の適正な植物体乾物率は25〜35%とされている。戸沢(1981)が報告した乾物率が30%になるのに必要な播種からの単純積算温度を用いて,早中晩生の各品種を5月10,15および20日に播種した場合に,いつ絹糸を抽出し,乾物率が30%になるかを求めた。その結果,早生種は5月20日までに播種すると約70%の年で,帯広の平年初霜日である10月4日までに乾物率が30%となった。これに対し,晩生種は5月10日に播種しても,乾物率30%となる日は33年間のうちわずかに3年のみであった。中生種を5月10日に播種した場合には,初霜日までに乾物率30%となる年の割合は36%であった。無霜期間が短かくて,初霜の早い十勝地方では,中晩生種は生体収量は高いものの,熟度がすすまないため,栄養収量は低く,良質のサイレージ原料を得ることは困難である。従って,十勝地方でのサイレージ用トウモロコシ品種としては早生種の栽培が望ましいと考えられた。