著者
久保田 徳昭 河上 忠男
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.444-449, 1977
被引用文献数
1

確率変数である待ち時間の分布が, 200本のガラスアンプルに封入した, 濾過してない溶液を用いて測定された.<BR>この待ち時間の分布が, 濾過の核発生抑制効果を定量的に検討するために, 著者らの確率論的モデルにより解析され, 前報の濾過溶液の分布と比較されている.<BR>その結果, 濾過の核発生抑制効果は上記モデルにおける2種類の活性点の数の減少に帰着され, そして待ち時間の期待値<I>E</I> (θ) の増加となって現れている.<BR>孔径0.3μのメンブランフィルターを使用した時, 第1種および第2種の活性点の数はそれぞれ, おおよそ1/30および1/60に減少した.この変化は, たとえば過飽和度の対数, log (<I>c/c</I><SUP>*</SUP>) =0.180の点では, <I>E</I> (θ) の約1,000倍の増加となった.<BR>さらに, θ<SUB>ω</SUB> (光田らの待ち時間) のlog (<I>c/c</I><SUP>*</SUP>) 依存性は, θ<SUB>ω</SUB>と<I>E</I> (θ) の挙動の類似性から, 活性点の数に関係していると推論されている.活性点は, 溶液中の固体不純物上にあると考えられている.