- 著者
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相馬 武久
齋藤 奈美子
河口 雅登
石井 博
- 出版者
- 動物臨床医学会
- 雑誌
- 動物臨床医学
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.2, pp.35-40, 2010
1993~2009年に血清検査を行ったわが国の家猫83,606頭の抗猫コロナウイルス(FCoV)抗体陽性率を品種別に解析した。純血種の陽性率(76.3%)は雑種(50.1%)に比べ極めて高い値を示した(p<0.0001,χ<sup>2</sup>=4,408.5)。両種ともに陽性率は1カ月齢から4カ月齢まで急速に上昇し,その後加齢に伴い減少した。また,本調査期間に雑種の陽性率は年度が進むにつれて減少したが,純血種では上昇傾向を示した。以上の成績からわが国では純血種が幼齢期にFCoVに感染する機会が多く,その感染状況が近年悪化していることが示唆された。また,スコティッシュフォールド,メインクーンの陽性率(それぞれ87.5%,89.6%)が純血種の平均値(76.3%)に比べて極めて高い値を示し(それぞれ,p<0.0001,χ<sup>2</sup>=143.2,131.6),シャム,ペルシャが極めて低い値(それぞれ47.1%,65.3%)を示した(それぞれ,p<0.0001,χ<sup>2</sup>=332.2,248.9)。低値の2品種はこれまでの研究でもFCoVおよび猫伝染性腹膜炎に低感受性であることが報告されており,本研究でも同様な傾向が認められた。