著者
河合 信之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.21-24, 2019-06-01 (Released:2019-05-29)
参考文献数
8

光合成によって葉でつくられたデンプンの検出方法について小学校理科の教科書では,(1)葉を煮てヨウ素液をつける方法,(2)葉をろ紙で挟んで木槌でたたき出し,ろ紙にヨウ素液をかける方法が紹介されている.これらの方法の問題点として,(1)の方法では,緑色の葉に直接ヨウ素液をつけるため,ヨウ素反応が青紫ではなく黒ずむことが多い.(2)の方法では,葉がろ紙に残ったり,木槌で叩いてろ紙が破れたりする.またろ紙にヨウ素液を直接かけるため,反応がきれいに出ないという問題が挙げられる.そこで本研究では,たたき出す道具や手順を工夫することによって,葉だけでなく,茎や根に含まれるデンプンをヨウ素液で青紫色に美しく検出することができた.また,この方法を使った発展的な指導法として,時刻別の葉を採取してヨウ素反応を調べると,その色の濃度差から,昼間に,光合成によって葉のデンプンが増加し,夜間にデンプンが葉から出ていくことが経時的に確認できることを紹介する.