著者
渡邊 伸行 河崎 翔太
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.138, 2019 (Released:2019-10-28)

本研究では、顔面表情の感情的評価にしぐさが及ぼす影響について検討することを目的とした。モデル2名に表情4種類 (喜び、驚き、怒り、無表情)、しぐさ9種類 (手で口を覆う、後ろ髪を触る、腕を組む、など) を組み合わせた演技をしてもらった静止画像、計72枚を刺激として用いた。実験では、刺激をランダムに呈示し、実験参加者はセマンティック・ディファレンシャル (SD) 法 (Osgood et al., 1957) に基づいて、12項目の形容詞対を用いて7件法で評価してもらった。実験で得られた評定値の平均値を用いて、因子分析を実施した結果、従来の表情認知研究 (Russell, 1997; Takehara et al., 2002など) で繰り返し見出されてきた、評価性 (快—不快)、活動性の2因子が抽出された。因子空間における刺激の布置を確認したところ、しぐさが表情に対する感情的評価に何らかの影響を及ぼすことが示され、例えば腕組みの動作では表情が示す感情をより強調する効果があることが示唆された。