著者
河村 重行 岩崎 文雄 細田 友雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.146-152, 1974-06-29

1)花粉発芽の基礎的実験の一つとして,花粉粒内の糖含量が植物の種類・花粉の発育時期によりどのように異なるかを調査した。2)実験にはホーセンカ,ペチュニア,コスモス,菜類およびアサガオの花粉を主として用いた。3)糖類の検出はヨード・ヨードカリ法,Periodic Acid Schiff法およびFluckigen法で行った。4)その結果,同一植物の花粉でも発育時期によって糖の種類や含量に差が認められた。5)一般に花粉の発育初期から成熟する重での過程でデンプン含量は減少するが単糖類の含量は増加する傾向がみられた。6)ホーセンカ,ペチュニア,アサガオはデンプン,多糖類,単糖類の含量が比較的多く,特にPAS反応とFluckigen法で検出される糖類が顕著であった。これに対しコスモス,菜類はデンプン,多糖類,単糖類とも検出されたが,とくにFluckigen法で反応する糖類の含量は少なかった。7)無添加の寒天培地に発芽させたところ,ホーセンカとペチュニアはよく発芽するが菜類,コスモス,アサガオは発芽がわるかった。このことから単糖類と発芽との関係をさらに調べることにした。