著者
河相 優子 白井 亮洋 角田 正也 井手上 公太郎 末吉 健志 遠藤 達郎 久本 秀明
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.125-131, 2021-03-05 (Released:2021-04-19)
参考文献数
41
被引用文献数
1

本研究では,インクジェットプリンティングを用いて一つのポリジメチルシロキサン(Poly(dimethylsiloxane), PDMS)製マイクロ流路内に2種類の反応試薬を固定化した1ステップ均一系競合型バイオアッセイマイクロデバイスを開発した.インクジェットプリンターは試薬をナノリットルサイズの液滴として正確な量を位置選択的に吐出するため,互いに反応する2種類の試薬を混ざることなく微少空間内に独立して固定化できる.そのため,先行研究でデバイスを作製する際に課題となった,相互に反応する試薬を固定化した二つのマイクロ流路を精密に組み合わせる操作が不要となる.本研究ではその一例として,ビオチン固定化酸化グラフェン(BG)と蛍光標識ストレプトアビジン(F-SA)を1本のマイクロ流路内に固定してビオチンアッセイマイクロデバイスを試作し,基礎検討として試薬の固定化位置や試薬及び添加剤種の評価を行った.その結果,液滴を流路壁面寄りに吐出すると再現性よく流路底面の両サイドに試薬固定できること,添加剤としてトレハロースが適すること及び,試料導入操作のみでの1ステップ検出で,検出下限は0.68 ng mL−1となり,先行研究と比較して約1/600倍改善することを明らかにした.