著者
末吉 健志
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.806-813, 2015-11-14 (Released:2015-12-04)
参考文献数
8

椎間板ヘルニアなどの退行性疾患に対するMRIの意義は,椎体椎間板などの形態評価と腫瘍などの他疾患除外とされてきた.ペインクリニック医にとって最も重要である疼痛責任部位の同定は神経学的評価に委ねられてきたが,大きな進歩を遂げた現在のMRI技術と最近の知見を踏まえた読影を行えば,画像側からの疼痛責任部位の推定もある程度可能と思われる.撮影に関して重要なのは,連続撮影と脂肪抑制T2強調画像であり,読影に関して重要なのは詳細な解剖学的検討に加えて,椎間板突出部の信号,椎体信号,末梢神経所見,傍脊柱筋信号の確認と考える.
著者
河相 優子 白井 亮洋 角田 正也 井手上 公太郎 末吉 健志 遠藤 達郎 久本 秀明
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.125-131, 2021-03-05 (Released:2021-04-19)
参考文献数
41
被引用文献数
1

本研究では,インクジェットプリンティングを用いて一つのポリジメチルシロキサン(Poly(dimethylsiloxane), PDMS)製マイクロ流路内に2種類の反応試薬を固定化した1ステップ均一系競合型バイオアッセイマイクロデバイスを開発した.インクジェットプリンターは試薬をナノリットルサイズの液滴として正確な量を位置選択的に吐出するため,互いに反応する2種類の試薬を混ざることなく微少空間内に独立して固定化できる.そのため,先行研究でデバイスを作製する際に課題となった,相互に反応する試薬を固定化した二つのマイクロ流路を精密に組み合わせる操作が不要となる.本研究ではその一例として,ビオチン固定化酸化グラフェン(BG)と蛍光標識ストレプトアビジン(F-SA)を1本のマイクロ流路内に固定してビオチンアッセイマイクロデバイスを試作し,基礎検討として試薬の固定化位置や試薬及び添加剤種の評価を行った.その結果,液滴を流路壁面寄りに吐出すると再現性よく流路底面の両サイドに試薬固定できること,添加剤としてトレハロースが適すること及び,試料導入操作のみでの1ステップ検出で,検出下限は0.68 ng mL−1となり,先行研究と比較して約1/600倍改善することを明らかにした.