著者
河野 保博
出版者
京都芸術大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2022-08-31

日本列島各地に定着した馬匹文化はその後の社会の基層を支えるインフラとなり、馬は人びとの生活に欠かせない生き物としての存在を確立した。古代の列島全域への馬匹文化の拡散は中央集権体制の構築のなかで進められた国家的な生産が大きな役割を果たした。その拠点となるのが列島各地に設置された「官牧」である。本研究は古代国家によって設置された官牧の存在を検証し、地方支配や馬匹生産の展開、古代の地域空間を考えるための基礎を明らかにしようとするものである。そのため、列島各地の官牧想定地を実地調査し、馬の移動や利用という観点から交通路や地域支配の拠点との関係性を検証しながらその立地環境を明らかにしていく。