著者
中嶋 駿介 山口 健也 今村 秀 進藤 美舟 妙中 隆大朗 河野 健太郎 丹波 嘉一郎
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.163-167, 2021 (Released:2021-05-19)
参考文献数
12

【緒言】メサドン導入の際は本邦のガイドラインではstop and go法が推奨されているが,一時的な疼痛コントロール不良や重篤な副作用が出現する可能性がある.難治性がん疼痛の患者に対して,先行オピオイドに上乗せして早期に少量のメサドンを導入することで,症状緩和を得た症例を経験した.【症例】70歳男性.直腸吻合部の直腸がん再発による旧肛門部痛に対してタペンタドール,鎮痛補助薬を導入したが疼痛コントロール不良であったため,メサドン5 mg分1を併用した.メサドン開始後は著明な疼痛改善,QOL改善を認めた.【考察】より安全に疼痛管理を行うために本症例のような早期に少量メサドンを上乗せする方法が検討されうる.
著者
河野 健太郎 石井 啓義 寺尾 岳
出版者
九州精神神経学会
雑誌
九州神経精神医学 (ISSN:00236144)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.74-80, 2019-08-15 (Released:2020-10-05)
参考文献数
40

19世紀,気質の概念は Kraepelin ら精神科医から提唱されていた。Kraepelin の概念を継承し,Akiskalは双極性障害と単極性うつ病が連続性を持ち,それらを包含する概念として「双極スペクトラム」を提唱した。また,双極スペクトラムに関連するTemperament Evaluation of Memphis, Pisa, Paris and San Diego-autoquestionnaire version(TEMPS-A)で同定された抑うつ,循環,発揚,焦燥,不安の5つの感情気質を示した。本稿ではTEMPS-Aの気質中心に関連する,様々な研究を紹介する。TEMPS-Aの気質とTemperament and Character Inventory(TCI)の気質の関連についての研究,気質と光の関係についての研究,fMRIやPETを用いた気質に関連する脳機能画像研究,最後に薬物反応性や自殺などふくめ,臨床への応用が期待される研究について提示したい。