著者
奥田 ゆり子 河鰭 憲幸 任 幹夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.67-71, 2023 (Released:2023-02-24)
参考文献数
11

早期からの緩和ケアの導入を目指し,大阪労災病院(以下,当院)では緩和ケアスクリーニングに積極的に取り組んでいる.当院緩和ケア科は漫然とルーチンをこなすのではなく繰り返し評価して改善していくことを重視しており,本邦で日常診療における緩和ケアチームの評価,さらに次の施策を検討した文献に乏しいこともあり,当院入院患者のスクリーニングの結果,施策をどう設定したのか,現状評価と今後の課題について後ろ向きに分析した.緩和ケアチーム介入があった91人はスコア上,すべての症状で改善がみられた.しかし,それが緩和ケアチーム介入自体の効果かは評価できなかった.また,チーム介入できていない患者の存在も示され,対象患者がもれなくチーム介入を受けるためには工夫が必要であると考えられた.スクリーニングは緩和ケアへつながる一つのきっかけにすぎず,今後は緩和ケアチームが患者のために病院全体のセーフティネットとして機能する体制づくりが必要であると考える.