著者
仲野 敦子 仲野 公一 沼田 勉 今野 昭義
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.584-591, 2001-12-28 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14

1998年1月から2000年3月までに聴神経腫瘍に対してガンマナイフ治療を施行し, 3ヵ月以上経過観察できた聴神経腫瘍28例を対象として, 治療後の聴力の変化を検討した。 新鮮例13例中4例, 術後例15例中13例が治療前に聾であり, いずれも治療後に聴力の回復は認めなかった。 聴力残存11例のうち, 聴力の改善した例は2例あり, 2例とも6ヵ月までの早期に改善を認めていた。 聴力悪化例は3例あり, 1例は治療6ヵ月後までに急激に聴力が悪化し聾となり, その後改善が認められず聾のままであった。 残り2例は治療後より徐々に悪化していた。 現在まで聾となった症例は1例のみであり, 聴力温存率は90.9%であったが, 治療前にGardner & Robertsonの分類でclass 1または2であった5症例のうち, 治療後もclass 1または2であったものは3症例 (60%) であった。 聴力変化と, 腫瘍体積の変化には一定の傾向は認められなかった。
著者
仲野 敦子 仲野 公一 沼田 勉 今野 昭義
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.191-195, 1999-06-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1

SLEによる自己免疫性内耳障害が, SLE発症初期に出現し, ステロイド治療に反応し聴力の改善を得られた症例を経験した。症例は初診時13歳の男子である。 数ヵ月間に徐々に進行した原因不明の両側性高音漸傾型の感音難聴があり, 当初突発性難聴に準じたステロイド治療が施行されたが聴力は改善せず, 約1ヵ月後, 他の症状が出現してSLEの診断が確定した。 SISIテスト, 自記オージオメトリでは, 内耳障害を示唆する所見であった。 SLE診断確定後, PSL 60mg/日の内服により聴力は改善したが, PSL 40mg/日に減量したところで聴力の再悪化があり, またその後も原疾患の病状と平行する様に聴力は変動した。 発症後, 三年余が経過したが, ステロイド治療の他, 免疫抑制剤, 血漿交換, および高気圧酸素療法を併用し, 原疾患のコントロール及び聴力の改善が得られている。
著者
今野 昭義 寺田 修久 花沢 豊行 沼田 勉 片橋 立秋
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.127-136, 1996-04-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
24

鼻アレルギーにみられる鼻粘膜の血管拡張および血漿蛋白漏出の発現機序に局所および中枢を介する神経反射は一部関与する。 蒼白浮腫状の鼻粘膜では間質浮腫が著明であり, レーザードップラー血流計で測定した鼻粘膜血流は著明に減少している。また浮腫状の鼻粘膜においては容積血管の交感神経刺激に対する反応は減弱している。鼻アレルギー症例にみられる高度な鼻粘膜腫脹の大部分はペプチドロイコトリエン, ヒスタミン, PAFなど多種類の化学伝達物質の鼻粘膜血管に対する直接作用によるものであり, その中でもペプチドロイコトリエンが最も重要である。これらの化学伝達物質はお互いに作用し合うことによって鼻粘膜の標的器官に対する作用が増幅される。