著者
泉 佳菜子 相原 道子 池澤 善郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1629-1639, 2009-12-31 (Released:2017-02-10)
参考文献数
42
被引用文献数
3

【背景・目的】食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)においてNSAIDsは症状の誘発や悪化に関与することが知られている.食物アレルギーにおけるNSAIDsの影響を検討する.【方法】1999年〜2008年におけるNSAIDsの増強効果がみられた即時型食物アレルギー患者の本邦論文報告例の臨床的解析を行った.【結果】全47例中食物摂取のみで症状が誘発されるもの5例,FDEIA33例,食物摂取にNSAIDs投与が加わって症状が誘発されるが食物摂取に運動負荷を加えても発症しないもの9例の報告がみられた.原因食物はいずれの群も小麦が最多であり,グルテン特異的IgE抗体の存在が示されたことからグルテンはNSAIDsの影響を最も受けやすい食物アレルゲンと考えられた.【結語】食物アレルギー反応による症状誘発の閾値がNSAIDsにより低下することが示唆された.FDEIAの一部は食物とNSAIDsで誘発されるが,食物とNSAIDsによる発症に運動の関与しない症例の存在が示された.