著者
波田 重熙 吉倉 紳一 ギャヴィティーズ J.E.
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.56, pp.183-198, 2000-03-15
被引用文献数
7

黒瀬川地帯の三滝火成岩類, シルル-デボン系酸性凝灰岩, 土居層と嘉義尾層の花崗岩礫について, U-Pb法によるジルコンの年代測定を行った.三滝火成岩類については439〜441Ma, また, シルル-デボン系については362〜414Maの年代が得られた.花崗岩礫については263Maおよび250Ma(土居層), 203Ma(嘉義尾層)の年代が得られた.これらは, 各々の地層の堆積年代に近いことから, 礫の供給源となった花崗岩は貫入定置後, 急速に上昇・削剥・供給されたとみられる.また, これらの礫の年代は三滝火成岩類のそれより明らかに若いので, 供給源を三滝火成岩類に求めることはできない.供給源は, 南中国あるいはインドシナ/東マレーシア大陸地塊, および, それらが衝突・合体して形成されたアジア大陸の大陸縁辺域に位置していた火成弧と見なされる.一方三滝火成岩類は, 上記の大陸地塊がゴンドワナ大陸から分裂・移動する以前の結晶質基盤岩類と考えられる.