著者
中川 昌治 M. Santosh 吉倉 紳一 原田 亜実 三浦 正裕 福田 照久 松田 靖正 桑田 泰宏 K. J. Mathew P. T. Ambujakshan H. Thampy
出版者
一般社団法人日本粘土学会
雑誌
粘土科学討論会講演要旨集 第48回 粘土科学討論会 (ISSN:24330566)
巻号頁・発行日
pp.23, 2004 (Released:2006-05-13)

南インドKerala州のTrivandrum近郊では,良質のカオリン粘土の鉱床が多く存在し,紙や衛生陶器用に採掘されている.カオリナイトと少量の石英からなる白色塊状粘土の層が第三紀層中に胚胎し,鉱床上部にはラテライト化した砂質カオリンが分布する.これらの粘土中のカオリナイトはXRDとSEMから結晶性が非常に高い.基盤岩(先カンブリア時代のアルミナ質グラニュライト)が強烈な風化変質作用を受けカオリン化し,近くの湖に堆積してできたと考えられる.
著者
波田 重熙 吉倉 紳一 ギャヴィティーズ J.E.
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.56, pp.183-198, 2000-03-15
被引用文献数
7

黒瀬川地帯の三滝火成岩類, シルル-デボン系酸性凝灰岩, 土居層と嘉義尾層の花崗岩礫について, U-Pb法によるジルコンの年代測定を行った.三滝火成岩類については439〜441Ma, また, シルル-デボン系については362〜414Maの年代が得られた.花崗岩礫については263Maおよび250Ma(土居層), 203Ma(嘉義尾層)の年代が得られた.これらは, 各々の地層の堆積年代に近いことから, 礫の供給源となった花崗岩は貫入定置後, 急速に上昇・削剥・供給されたとみられる.また, これらの礫の年代は三滝火成岩類のそれより明らかに若いので, 供給源を三滝火成岩類に求めることはできない.供給源は, 南中国あるいはインドシナ/東マレーシア大陸地塊, および, それらが衝突・合体して形成されたアジア大陸の大陸縁辺域に位置していた火成弧と見なされる.一方三滝火成岩類は, 上記の大陸地塊がゴンドワナ大陸から分裂・移動する以前の結晶質基盤岩類と考えられる.
著者
波田 重煕 吉倉 紳一
出版者
高知大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

最近、秩父累帯は、複数のテレ-ンからなる複合地帯であると考えられるようになってきた。そのようなテレ-ンの中でも、黒瀬川テレ-ンは先シルル紀基盤岩類を含み、古地磁気のデ-タなどに基づくと、それが、ゴンドワナ大陸に起源を持つ可能性がでてくるなど、西南日本のテクトニクスを解明するためには鍵となるテレ-ンであると考えられる。そこで、黒瀬川テレ-ンが本当に先シルル紀基盤岩類からなる大陸と、そこから由来した屑物を含む大陸被覆層からなるStratigraphic terraneなのかと明らかにしようとして2年間このプロジェクトと取り組んだ。そのために、主に、(1)花崗岩質岩礫で特徴づけられる“薄衣式礫岩"の年代を放散虫化石を用いて再検討する。(2)年代の明らかになった礫岩の花崗岩質岩礫の岩石化学的特徴を明らかにし、基盤岩類との類線性を比較検討する。(3)花崗岩質岩礫及び基盤の花崗岩質岩よりジルコンを抽出し、U-pb年代を測定する研究方法を取った。その結果、(1)については、ペルム紀中世からジュラ紀中世にわたる種々の年代の薄衣式礫岩層が存在すること,それらが、大陸地域の成層岩層であること、(2)については、礫には黒瀬川構造帯の基盤岩類に対応するものが存在すると同時に、風化変質の影響があるとはいえ、それらと特徴を異にする花崗岩質岩礫も含まれること、そして、(3)については、最終的な結果がまだ出ていないが、薄衣式礫岩の花崗岩質岩の礫には、予想もしていなかった程若いものが含まれることが明らかになってきた。(3)の点は新しい大変重要な事実で、その解釈としては種々の考え方が可能と思われるが、1つの重要な可能性として、従来、黒瀬川陸塊への海洋プレ-トの沈み込みが、例えば、古生代末からトリアス紀初期の時代に想定されていたが、花崗岩質岩礫の年代は、その直接的な証拠となるかもしれないことを指摘しておきたい。