著者
沼田 華織 工藤 せい子 津島 律
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1_63-1_72, 1990-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
13

貧血患者(WHOの基準でHb値,男性13.0g/dl未満,女性12.0g/dl未満)男女16名に対して前屈位洗髪を行いVital signs(脈拍,呼吸,血圧)に与える影響を貧血のない患者男女17名を対照として比較した。 洗髪は,38℃,40℃温湯で,洗髪車を用い病室で行った。体位は,椅子に腰かけ前屈坐位で,洗髪時間は1人8分で,テープレコーダーに吹き込み一定時間で行い,終了後10分までVital signsを測定した。この結果,脈拍・呼吸はともにt検定で有意な変化はなく,38℃,40℃温度間でも有意差はなかった。最高血圧では,貧血患者が40℃で0分(施行直前)に比べ8分,10分,18分に有意に上昇した。最低血圧は,両群とも38℃で0分に比べ8分,10分,18分に有意に上昇した。両血圧とも温度間の有意差はなかった。 今回,38℃,40℃の温湯は,貧血患者に対して影響はなかった。しかし,貧血患者に対しては,貧血の程度によっては,仰臥位洗髪の方法で施行した方が安全と考えた。