著者
津波 聡
出版者
沖縄国際大学
雑誌
沖縄国際大学外国語研究 (ISSN:1343070X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.C1-99, 2008-03

英語専攻の大学生にとって、原書を辞書無しで読むことは、在学中に最低限達成したい目標の一つである。従って主に1年生が受講するリーディング(講読)クラスは、彼らを原書講読へ導く重要な役割がある。本研究は、大学入学間もない英語専攻の学生(以後1年次)を対象にした効果的なリーディング指導法を見いだすことを目的にしている。本稿では、まず1年次を対象に実施した語彙力テストと読解力テストの結果を紹介し、その結果を基に具体的なリーディング指導法を提案する。語彙力テストでは、被験者の語彙力と原書講読が可能とされる語彙レベルにかなりの開きがあること、読解力テストでは、被験者の大部分が高等学校学習指導要領に示されている読解レベルに到達していないことが判明した。また、被験者の語彙力と読解力には強い相関関係があり、語彙力のある学生ほど読解力が高い傾向にあった。このような結果を基に、1年次の現状と学習環境に合致したリーディング指導法として、内容把握を重視するextensive readingを授業外の課題とし、テキストの語彙や文型に焦点を当てる、intensive reading活動を授業内の活動として取り入れることを提案する。提案された指導法は今後の講読の授業に導入され、その有効性の検証が継続研究として予定されている。