著者
津田 壮章
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.135-151, 2020-12-20

本稿は, 京都府立鴨沂高等学校の学校行事「仰げば尊し」を主な題材に, 「自由な校風」という教育実践の意義と限界を考察するものである. 同校では, 戦後直後から表現の自由が重視されていた. 当初は仮装行列であった「仰げば尊し」は, 1960年代にデモンストレーションとなる. 1980年代には教育実践としても位置づけられているが, 2010年代の校舎改築及び校風改革によって廃止された. しかし, 主権者教育が推進される現代においてこそ, 自由で自立した市民を育てる校風として再評価できるのではないだろうか.