著者
洪 萬杓
出版者
Japan Management Diagnosis Association
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.319-329, 2006

ロシア革命以来, 人類史に始めて登場した旧社会主義体制が 「崩壊」 し十数年が経過したが, 今や市場経済のみが唯一の普遍的原理となりつつある。果たして, そのようにほとんど未来永劫, 人類史の今後を規定していくと結論付けてもよいのだろうか。歴史の現段階においては, 「現実社会主義」 自体が資本主義と存否を懸けて対決する体制と言うよりは, 先進資本主義にやや遅れて近代的国民国家を形成させた 「近代化のもうひとつの道」 であった, と総括することが可能になった。このようなことを踏まえると, 人類史はいま一度, 市場経済の論理が専一的に貫徹するのではない 「新しいゲマインシャフト」 を志向する可能性を東アジアの中のヴェトナム社会から 「試論」 を定立させ, 「命題」 として考えてみた。