著者
浅田 浩文
出版者
福岡女学院大学
雑誌
福岡女学院大学短期大学部紀要. 一般教育・英語英文学 (ISSN:09123377)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-17, 2004-03-01

本研究は、言語接触の観点から、本国でのフォーマルな日本語学習から日本というインフォーマルな日本語環境に接触した中国人留学生4名を対象に、語彙の音便化や縮約について、縦断的に調査したものである。その結果、明らかになったことは、以下の通りである。1.音便化に関して、日本人大学生と同様に、中国人留学生の発話の中で相対的に使用頻度が高いものとして「あんまり」「やっぱり」があるが、日本人大学生とは対照的に、中国人留学生に使用されていないものとして「わかんない(かった)」「ばっかり」がある。2.縮約形について、日本人大学生の発話の中では、語末<-Ro>が頻繁に省略されているのに対して、中国人留学生の発話には、その傾向がまったく見られない。3.その他、アスペクトに関して、日本人大学生の発話の中では、「テイル」より「テ(イ)ル」が多用されているが、中国人留学生の発話では、最初に「テイル」が使用され、滞日期間が長くなるにしたがって「テ(イ)ル」が混用されている。