著者
篠田 淳 浅野 好孝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.11, pp.842-848, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
17
被引用文献数
3

従来, 頭部外傷後に記憶・記銘力障害, 注意障害, 遂行機能障害, 社会的行動障害を後遺し社会に適応できない人たちの存在は十分理解されなかった. 国は彼らに「高次脳機能障害」という傷病名をつけ障害者として行政支援の対象とすることにした. 本障害診断基準では画像で脳の器質的疾患が確認されることが必要とされる. 近年, MRIの新しい撮像法, SPECTやPETは従来の画像では確認できなかった脳の損傷を捉えることを可能にした. これらの画像は従来「見えない障害」と呼ばれてきた高次脳機能障害を「見える障害」へ移行させつつある. びまん性脳損傷慢性期の画像診断と画像所見から推測できる本障害のメカニズムについて述べる.