著者
篠田 淳 浅野 好孝
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.11, pp.842-848, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
17
被引用文献数
3

従来, 頭部外傷後に記憶・記銘力障害, 注意障害, 遂行機能障害, 社会的行動障害を後遺し社会に適応できない人たちの存在は十分理解されなかった. 国は彼らに「高次脳機能障害」という傷病名をつけ障害者として行政支援の対象とすることにした. 本障害診断基準では画像で脳の器質的疾患が確認されることが必要とされる. 近年, MRIの新しい撮像法, SPECTやPETは従来の画像では確認できなかった脳の損傷を捉えることを可能にした. これらの画像は従来「見えない障害」と呼ばれてきた高次脳機能障害を「見える障害」へ移行させつつある. びまん性脳損傷慢性期の画像診断と画像所見から推測できる本障害のメカニズムについて述べる.
著者
金澤 太茂 小長谷 敏浩 今村 祐志 金山 範明 松永 昌宏 大平 英樹 福山 誠介 篠田 淳 野村 理朗 野木森 剛 金子 宏 各務 伸一
出版者
愛知医科大学
雑誌
愛知医科大学医学会雑誌 (ISSN:03010902)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.59-70, 2007-06

Background: Brain activation areas in relation to bowel stimuli have been reported using brain imaging techniques in patients with irritable bowel syndrome(IBS). However, the results are controversial. The aim of this study is to clarify responsible brain site(s) when stimulated by the rectal balloon distension-induced abdominal symptom in IBS in terms of braingut interactions. Methods: Seven healthy volunteers and five patients with diarrhea-predominant IBS based on the Rome II criteria were recruited. All were right-handed men. Rectal sensitivity was examined with balloon distension using a barostat device. Studies are performed with or without rectal distension(RD). Each task took 4 minutes. The subjects were assigned to have each twice task at the individual pain threshold level with 11 minute intervals. The changes in brain blood flow were evaluated using H_2 ^<15>O-water positron emission tomography. Subjects were asked rectal pain and stress level with visual analogue scale(VAS) before and soon after the respective task. Blood pressure, heart rate, and several serum stress-related substances were also investigated. Results: The threshold of pressure for rectal pain was significantly lower in the IBS patients(IBS=14.4mmHg, volunteers=26.3mmHg on average). The IBS patients showed a significant increase in blood flow in especially insula, and in thalamus at RD as compared with that in volunteers. Analyzing changes in VAS score before and after task, an increase of score about physical stress was significantly larger in the IBS patients in RD although no differences was noted in pain perceived score among all subjects in RD. A tendency of correlation was observed between the RD-induced increment in blood flow in insula and that in VAS score of stress-feeling. Conclusions: The IBS patients had a significantly lower pain threshold against RD. Under RD stress at an individual pain threshold, a significant objective activation in insula, subjective physical stress, and correlation between them were obtained, indicating the brain activation magnitude-correlated stress in IBS.
著者
矢野 大仁 中山 則之 大江 直行 三輪 和弘 篠田 淳 吉村 紳一 岩間 亨
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.2-7, 2013 (Released:2013-07-16)
参考文献数
41

脳腫瘍関連てんかんについて、疫学、機序、治療などの観点で文献レビューを行った。低悪性度グリオーマ患者の70~90%がけいれんで発症するが、術後の発作消失率は約75%と報告されている。脳腫瘍関連てんかんの制御予測因子は、内科的制御、てんかん罹患期間1年未満、腫瘍の全摘出などで、側頭葉腫瘍では全摘出に海馬切除や皮質切除を追加すると発作消失率が高まり、手術時期に関しては発症3年未満で制御率が高まる。薬物治療では旧来薬にレベチラセタム(LEV)やガバペンチンの追加が推奨され、LEVは単独治療よりもバルプロ酸に追加すると効果が高い他、術後にはフェニトインの代替薬となる。LEV単独治療でも制御率は高く、社会生活の質改善にも奏功することが報告されている。Synaptic vesicle 2 A(SV 2 A)はLEVの結合蛋白であり、腫瘍や周辺脳においてSV 2 A蛋白の発現が高ければ奏功率が高いとされる。
著者
篠田 淳司
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.539-549, 2011-06-01
参考文献数
9

2002年の新エネルギー法政令改正に伴い,木質バイオマス発電施設建設への助成策が講じられ,企業や自治体,森林組合などによる施設整備が相次いだ。また,2003年にはRPS法が施行され,木質バイオマス発電施設の建設が加速された。さらに,セルロース系バイオエタノールなどの次世代バイオ燃料開発,バイオマス熱の利用拡大,バイオマス混焼による石炭火力発電などの木質バイオマスエネルギー利用に関する計画が幅広く進められている。不況などの影響で木質チップへの需要が緩和する事態が続いていたが,昨今,バイオマス混焼による石炭火力発電やバイオマス専焼の大型発電所などが計画されるようになり,再び需給がタイト化すると予想されている。森林資源のカスケード利用の観点からは,エネルギー利用は最終的な手段と位置づけられるが,昨今ではESCO,カーボンオフセット,CO<SUB>2</SUB>排出量取引などの新たな付加価値を付加したビジネスモデルも相次ぎ発表され,さらには木質バイオマス発電の固定価格買取制度の導入も見込まれている。こうした情勢変化は,最大の課題となっていた事業採算性にも期待をつなげる雰囲気を創り出しつつある。<BR>木質バイオマス利用による産業化はなかなか容易でないことも確かだが,一方ですぐにでもできることがあることも確かだ。CO<SUB>2</SUB>削減などを目的にいくつかの事業が動き出しているタイミングをとらえ,地域にバイオマス活用の道筋をつけていくことが必要だろう。2020年の木材自給率50%・低炭素社会実現を謳った『森林・林業再生プラン』の有効な促進策としても,強力に推進すべき時を迎えていると言えるだろう。
著者
萩原 一郎 野島 武敏 杉山 文子 小机 れかえ 安井 位夫 篠田 淳一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

軽量で高剛性、高強度のコア構造は省資源に役立つことからますます重要となる。コアの代名詞でもあるハニカムコアは熱に弱く、高価であるもののハニカムに代わるものは得られていない。本研究提案の、折紙工学と空間充填理論によって得られたダイアコアは「日本の折紙の産業応用への大いなる可能性」として本年7月にNatureに取り上げられた。この可能性ある折紙工学が確かに産業応用されるためには計算力学援用による安価な成型法の確立、機能の最適化が必要である。これまでの強度・剛性に関する検討からダイアコアはハニカムコアに総合力で優ることが示され、10月9日の日刊工業新聞の第1面に取り上げられた。更に、我々は既存の角柱型のコアモデルとは全く異なる、正多面体、準正多面体の空間充填形や、捩れ多面体等の形を持つ数々の独創的なコア構造を創案している。本研究では、ダイアコアの安価な製造法の確立、遮熱、吸音・遮音などの機能創出などを行うとともに、角柱型でない新しい概念に基づくコア構造に関しても同様に、計算力学を援用し新しい意匠デザイン、機能創出と安価な成型法の開発を目指した。ただし、今回の期間(平成20年4月-5月)では、ダイアコアの成形シミュレーションの手法開発を行った。