著者
浜田 璋子 山野 澄子 大西 正三
出版者
調理科学研究会
雑誌
調理科学
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.158-162, 1968

(1)残留塩素測定法を検討した結果,o-トリジンで呈色させた後その吸光度を分光光電光度計で測定し,あらかじめ作成しておいた残留塩素標準曲線により残留塩素量を求める方法を考案し,従来の測定法よりも迅速に,かつ正確に測定できることがわかった。(2)残留塩素の時刻的分布をみると1日の中で水道水を比較的多く使用する昼前から午後にかけて多くなっている。反対に朝水道水を出しはじめた直後はほとんど残留塩素は存在せず,それから1~2時間は非常に低い値となっている。(3)水道水を放置,攪拌するだけで残留塩素は減少していく。攪拌の場合その減少の仕方は攪拌しはじめた時急激に減少し,ある程度減少するとそれ以後は攪拌に時間をかけてもあまり変化がない。(4)調味料を添加した場合の残留塩素の減少は食塩の場合はかなり大である。蔗糖の場合は蔗糖濃度が高くなるほど減少の割合は大となる。酢酸添加の場合はあまり減少しない。また酢酸濃度を高くしてもその減少に変りはなかった。このことから食酢を用いる調理には残留塩素の残存はかなりあることが予想される。終りにのぞみ本実験に際し,御丁重なる御教示をいただきました大阪市水道局水質試験所,近藤正義,八木正一の両氏に深甚なる謝意を表する次第である。なお,本報告は昭和41年10月,日本家政学会関西支部総会にて口述発表したものである。