著者
浜田 章作
出版者
鳥取短期大学
雑誌
鳥取短期大学研究紀要 (ISSN:13463365)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.93-109, 2004-12-01

明治民法の一部改正法として成立した戦後家族法の改正過程においては, 戦前来の論議を引き継いで,「家」制度を中心にさまざまな立場からの主張と論戦が交わされた.その歴史的, 理論的検討をとおして, 戦前との「連続性」を踏まえつつも, 法的にも社会的にも旧制度を廃棄して戦前との「断絶」の上に近代的, 民主主義的な家族関係と家族法を確立しようとする川島武宜らの立場こそ, 「戦後家族法の出発点」として確認すべき唯一の立場であることが明らかとなる.
著者
浜田 章作
出版者
鳥取短期大学
雑誌
鳥取短期大学研究紀要 (ISSN:13463365)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.67-78, 2003-12-01

1900年に制定, 施行されたわが国の家族法は, 特異な家族国家イデオロギーと結びつき, 天皇制絶対主義による国民支配の法的装置の骨格をなした. 1945年の終戦を機に新たに制定された日本国憲法が, 個人の尊厳と男女の本質的平等を定めたため, これに反する家族法は全面改正を余儀なくされた. その後の法と社会のありようは, 憲法と家族法が目指した方向に進んでいるか, 疑わしい. 戦後家族法の出発点をあらためて確認する必要がある.
著者
浜田 章作
出版者
鳥取短期大学
雑誌
鳥取短期大学研究紀要 (ISSN:13463365)
巻号頁・発行日
no.49, pp.31-43, 2004

戦後家族法は, 明治民法の改正として成立した. 改正過程においては, 戦前の「家」制度をそのまま維持しようとする反動的な立場, 旧制度に多少の修正を加えるだけで実質的にこれを維持する立場, 国民感情にも配慮しつつ旧勢力と妥協して改正の実現を図る立場, 法的にも社会的にも旧制度を廃棄して近代的な家族関係を樹立しようとする立場が, それぞれの論理を展開して相争った.その様相を概観する.