- 著者
-
浜端 喬
- 出版者
- 独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
- 雑誌
- ラテンアメリカ・レポート (ISSN:09103317)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.2, pp.78-84, 2021 (Released:2021-01-31)
- 参考文献数
- 9
2020年3月18日、ニカラグアで初めて新型コロナウイルス(Covid-19)の感染が確認された。それから8カ月が経過した11月18日時点のニカラグア保健省(MINSA)発表の累計感染者は、4583名、うち死者数159名である。オルテガ政権の感染防止に対するこれまでの消極的な対応や医療崩壊の現状をかんがみると、この数値は現状からかけ離れているとして国内外から批判されている。これまでオルテガ政権は、政府の対応を批判する国内の医師を公立病院から解雇するなど強権的な対応を行い、新型コロナウイルス関連情報を隠蔽していると批判されている。しかし、この8カ月のあいだにニカラグア国内の医師などの有志で構成された市民監視団体が独自の新型コロナウイルス感染疑い者数を発表し、さらに国際ハッカー集団「Anonymous」がMINSAの非公表情報をリークした。これまで明らかになってきた情報をもとに、ニカラグアにおける新型コロナウイルスの感染状況およびオルテガ政権の取組みを検証していく。