著者
大塩 裕陸 仁井 文夫 浪岡 日左雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.231-238, 1981
被引用文献数
2 5

くん炭の物理的, 化学的性質を調べ, 養液栽培用培地としての適性について論じた.<br>くん炭内部は多孔質構造を有し, 軽量性, 通気性, 保水性に大きく寄与することが推察された. くん炭の粒度分布, くん炭培地の三相分布を測定し, 粒の崩壊さえ防げればくん炭は優れた養液栽培用培地であることを確認した.<br>焼成温度を変えて得られたくん炭の化学的性質, CECイオン吸着能, 最大容水量を調べ, 500°Cを起える焼成温度が好ましいことが示された. また, くん炭焼成温度の上昇につれてpHと水溶性カリの増大が顕著に認められた.<br>くん炭の水浸漬試験の結果, pHは比較的短時間で安定するが, ECおよび水溶性カリは浸漬時間の経過につれて徐々に増加し, くん炭中のカリは比較的難容性であることが示唆された.<br>くん炭培地における尿素のアンモニア化成と硝酸化成を調べると, 新しいくん炭中ではアンモニア化成は認めれらたが硝酸化成は認められなかった. しかし培地として使用後のくん炭では硝酸化成能が認められた.