著者
今中 忠行 海江田 豪児 田口 久治
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.423-430, 1973-06-25

前報で, 菌体増殖および酵素生産に関する動力学モデルを提出した.本報では, まずgalactose取り込みの制限条件を検討した結果, glucoseの添加によりgalactoseの細胞内への取りこみはon-off方式でただちに完全に阻害されること, およびgalactoseの細胞膜透過系は構成的であることが判明した.またこれらの事実より, 酵素誘導に長時間を要する主因は, galactoseの膜透過系にあるのではなく, 細胞内の諸反応と細胞内での物質移動であると考えられる.さらに本モデルを用いて酵素誘導とその抑制, glucoseとgalactoseを含む回分培養および連続培養の非定常過程の実験結果をすべて十分に説明すつことができた.以上のことから, 本モデルと解析に用いた諸定数を最適化の計算に用いる妥当性十分と判定した.