- 著者
-
海野 多枝
- 出版者
- 東京外国語大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2004
本研究は、本学(東京外国語大学)の学生が各専攻語の知識を生かして実践している地域の外国人に対するボランティア活動に焦点を当て、彼らの日本語支援及び交流活動の実態について、エスノグラフィーの手法を用いて明らかにし、今後の日本語支援・交流活動のあり方について考察することをねらいとする。本研究の成果は以下にまとめられる。1)基礎調査・文献調査まずはボランティアの日本語支援に関する先行研究を収集し、ボランティアの定義を整理し、問題となる「外国人児童生徒」の範囲についても確認した。また、先行研究で用いられている方法論を整理し、これらに文献リストを合わせてハンドブックを作成した。これをもとに、本研究で用いる質的研究の実施法について検討した。その上で、以下の3つの実態調査を実施した。2)まず、本学の多文化コミュニティ教育支援室の協力のもとに、地域に在住する成人外国人に対する日本語支援ニーズ調査を実施した。またこの成果をふまえて、本研究の研究代表者がコーディネーターとなり、日本語教室を一年間開講し、担当する教師・受講者への質問紙調査を実施した。また、このプロセスについて、地域在住の成人学習者に対する日本語支援の事例としてまとめた。3)次に、外国人児童生徒に対する日本語支援について、既にボランティアによる日本語支援に従事している本学学生からダイアリー・データを収集し、ボランティアに携わる学生の成長記録の事例としてまとめた。4)さらに、本学の外国人留学生に対する日本語支援ボランティアに携わる日本人学生に対し、ネットワーク構築を奨励し、日本人学生と留学生両者に対する質問紙・聞き取り調査を実施し、ネットワーク構築の事例としてまとめた。