著者
並木 瑠理江 涌水 理恵
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.225-234, 2023 (Released:2023-10-25)
参考文献数
30

本研究は,終末期の親の闘病から死別後の子どもとその家族のニーズや体験,看護師や多職種連携による支援について,国内文献から把握し今後の臨床現場で取り組む看護ケアに関する課題を明らかにすることを目的とした.医学中央雑誌Web版を用いて2022年11月の時点で可能な文献を検索した.結果は対象文献18件であり,配偶者と子どもの死別前のニーズ,配偶者と子どもの死別後の生活体験,終末期の親の病や死について子どもへの伝え方/説明,終末期の親をもつ子どもに対する看護師の関わり,終末期の親を看取る子どもへの看護介入,多職種との連携の六つのカテゴリーに分類された.結果,子どもを家族の一員として認識し,年齢や発達段階に応じた病状説明の必要性が示唆された.また子どもへの継続支援に,学校や外部機関との連携が重要であった.さらに看護師は経験や学習を積み,子どもとその家族への具体的な体制整備が課題となる.
著者
涌水 理恵 尾関 志保 上別府 圭子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.75-75, 2005-09-15 (Released:2012-10-29)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

外科的小手術 (以下, 小手術) を受けた子どもの退院後の心理的混乱についての実態把握および関連要因の探索を目的とし, 小手術が決定した幼児期後期の子どもとその母親 24 組を対象に調査を実施した. 心理的混乱の測定・評価にはPost-Hospital-Behavior-Questionnaire (PHBQ) を用い, 当変数を目的変数とした重回帰分析を行った.結果, 54.2%の子どもに心理的混乱がみられ, とりわけ『分離不安』が45.8%と高く, 「夜泣き」「癇癪」「自立性の欠如」等の症状が顕著であった. また, 心理的混乱の関連因子として, 「入院の趣旨に対する理解 (β=-0.591, p<0.001)」「病気に対する自覚 (β=ー0.317, p<0.01)」「服従的な親子関係 (β=0.250, p<0.05)」が抽出され, 病気や入院・手術に対する子どもなりの自覚や理解を医療者と家族が協働して促すこと, 「親子関係」については事前にアセスメントを行い個別に注意を払うこと, の必要性が示唆された.