著者
淀川 雅夫
出版者
岐阜大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

情報教育が盛んに行われ、他の教科や総合的な学習の時間でも積極的に活用されている中、技術・家庭科としての特色を明確にしていく必要がある。現行の学習指導要領において技術分野は2つの領域で構成されており、情報教育を担う「B情報とコンピュータ」では、ソフトウェアの活用を中心とした操作方法の知識・技能の習得や機器の使い方の確認が学習の中心となりがちである。「B情報とコンピュータ」の発展的学習内容の中に、(6)プログラムと計測・制御があるが、これからの技術・家庭科の授業を考えた場合、「A技術とものづくり」との融合が進められていることもあり、この内容を選択していくことが益々重要なのではないかと考えた。本校では「創造的に学ぶ生徒の育成」を研究テーマに掲げており、自立型ロボットの製作と制御を通して、生徒の学習意欲を喚起し、創造力を育成するための授業について、教材と指導方法からアプローチを試み、追究してきた。制御基盤、ギヤボックスなど基本となる部品は指定して与えるものの、ロボットにどんな目的で、どんな動きをさせるかの自由度は生徒に与え設計を試みた。そして、仲間との議論を重ねていく中で、グループに1台のロボットを製作した。生徒はロボットそのものに魅力を感じたようであるが、作る難しさも味わい、お互いにアイデアを交流していく中で、自分の考えたような動きを持たせていくことに喜びも感じることができた。また、他グループの製作の様子をビデオ撮影し、それを示していくことで、お互いの製作の刺激とした。その後、できあがったロボットを、フリーソフトで制御した。願う動きをさせるために、どのようにプログラミングを試みたらよいかを考えさせ、効率のよさ、簡潔で明解であることを求めて、学習に取り組ませた。今回の試みにより、ロボットを製作すること、制御することに対して学習意欲を喚起することはできたが、その過程における困難に対して、十分なサポートをしていかなければ意欲の減退につながるため、サポートのあり方について、今後、考えていきたい。